VARIABLE · SCALE
尺度を見分けると、使える計算が決まる
数値で書かれていても、平均との差や比に意味があるとは限りません。
| 尺度 | 意味のあるもの | 例 | 代表的な要約 |
|---|---|---|---|
| 同じ・異なる | 血液型、都道府県、商品分類 | 度数、最頻値 | |
| 順序 | 満足度、順位、段階評価 | 中央値、四分位数 | |
| 差 | 摂氏温度、西暦 | 平均、標準偏差 | |
| 差と比 | 身長、時間、金額、人数 | 平均、標準偏差、比率 |
は、値の間にどのような関係を認めてよいかを表します。名義尺度は分類だけ、順序尺度は分類と順序、間隔尺度はさらに差、比例尺度は差と比まで意味をもちます。同じ「数字」で入力されていても、学籍番号は人を区別する名義尺度、順位は順序尺度、摂氏温度は間隔尺度、身長は比例尺度です。
摂氏20℃は10℃より10℃高いといえますが、2倍の温かさとはいえません。0℃が温度の不在を表す絶対的な0ではないからです。一方、20 kgは10 kgの2倍であり、0 kgは質量がない状態を表すので比例尺度です。分析前に尺度を確かめると、意味のない平均や比を計算する誤りを防げます。
アンケートの「満足・普通・不満」は順序尺度ですが、便宜上1・2・3と符号化しても、1と2の差が2と3の差と同じとは限りません。数値化しただけで間隔尺度になるわけではありません。
さらに詳しく:量的データと質的データ
は個数、長さ、時間のように量として計算するデータ、は種類や状態を表すデータです。ただし、数値で符号化したカテゴリは質的データです。
連続量を階級へ分けると質的な区分として扱えますが、元の細かな情報は失われます。目的に必要な粒度を考え、元データと加工後のデータを区別して保存します。
COLLECT · SAMPLE · FORMAT
問いに合うデータを、偏りと形式を確認して集める
集計前に、だれを測ったか、どう選んだか、欠測や単位をどう扱うかを確かめます。
調べたい対象全体を、実際に調べる一部をといいます。全数調査は母集団すべてを調べ、標本調査は一部から全体を推測します。標本数が多くても、回答しやすい人だけ、特定の場所だけを選べば偏りは残ります。
| 収集方法 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 観察 | 対象へ条件を加えず記録する | 通行量、気象、利用ログ |
| 実験 | 条件を変え、結果の違いを比べる | 表示方法A/Bによる理解度 |
| 質問紙・聞取り | 意識や行動を本人へ尋ねる | 学校生活アンケート |
| 既存データ | 公的統計や公開資料を再利用する | e-Stat、自治体オープンデータ |
| センサ・ログ | 一定間隔またはイベントごとに自動記録する | 温度、アクセス履歴 |
分析しやすい一行一観測の表へ整える
各列に変数名と単位を定め、各行を一つの観測対象または一時点にそろえます。全角・半角、日付形式、単位、表記ゆれ、重複、欠測、外れ値を確認し、削除・補完・変換した内容を記録します。
| 形式 | 構造 | 用途 |
|---|---|---|
| CSV | 行と列を区切り文字で表す | 表形式データの交換 |
| JSON | 名前と値、配列、入れ子構造 | Web API、設定、階層的データ |
| XML | タグで意味と階層を表す | 文書・システム間交換 |
さらに詳しく:標本の偏りと測定の誤差
無作為抽出は母集団の各要素が選ばれる仕組みを明確にし、選択の偏りを減らします。それでも標本による偶然のずれは残ります。回答しない人が多い、質問文が誘導的、測定器がずれている場合は、標本数を増やすだけでは直りません。
調査票、抽出方法、取得日時、単位、欠測の符号、加工手順をメタデータとして残すと、別の人が結果を再現し、違いの原因を追跡できます。
さらに詳しく:CSV・JSON・XMLは構造の表し方が違う
CSVは行と列からなる表形式に向き、単純で多くのソフトで扱えますが、型や入れ子構造を直接は表しにくい形式です。JSONはキーと値、配列、入れ子を表しやすく、Web APIでよく使われます。XMLは開始・終了タグで階層を記述し、属性やスキーマを使えます。
拡張子だけで判断せず、文字コード、区切り、見出し行、欠測の表記、日付形式、単位を確認します。機械判読しやすい形式でも、意味を説明するメタデータがなければ正しく分析できません。
さらに詳しく:欠損値は、なぜ欠けたかを考えて扱う
未回答、測定失敗、対象外、記録漏れは、すべて空欄に見えても意味が違います。0で置き換えると「測定した結果0」と区別できなくなります。欠測を示す符号と理由を分けて記録します。
欠損行の除外、代表値による補完、前後の値を使う補間などがありますが、どれも仮定を伴います。処理方法を記録し、処理前後で件数や分布、結論がどの程度変わるか確認します。
さらに詳しく:文章・画像も分析用データになる
自由記述では、単語の出現回数、共起関係、感情の傾向などを調べるテキストマイニングがあります。画像では、明るさや色、形の特徴、学習済みモデルなどから分類や検出を行います。
文字分割の規則、同義語、皮肉、撮影条件、ラベルの誤りによって結果が変わります。数値化した後も元の文章・画像へ戻り、抽出した特徴が問いに合っているか確かめます。
QUESTION · PLAN · DATA · CONCLUSION
問いから始め、結論の限界まで説明する
分析方法を先に選ぶのではなく、何を明らかにしたいかを明確にします。
対象・比較・期間を具体化する。
必要な変数、母集団、標本、方法を決める。
分布・関係・時間変化を可視化する。
根拠と限界を添えて伝える。
調べたい対象全体を、実際に観測する一部をといいます。母集団を偏りなく推測するには、標本の抽出方法が重要です。
回答しやすい人だけを集める、質問文が結論を誘導する、欠測した回答を都合よく除くなどは結果を歪めます。収集方法と除外基準を記録します。
問題解決の各段階で、前の判断へ戻る
統計的探究は一方向ではありません。グラフを作って外れ値に気付けば収集条件へ戻り、結論が問いへ答えていなければ問いを修正します。結果だけでなく、途中で何を変更したかを記録します。
さらに詳しく:相関を調べる観察研究と因果を確かめる実験
観察データで二つの変数が一緒に変化しても、第三の変数が両方へ影響している可能性があります。因果効果を確かめるには、比較する群以外の条件をそろえ、対象を無作為に割り付ける実験が有効です。
人を対象とする実験では、危険や不利益を説明し、同意を得て、途中でやめられるようにします。学校で実施できない場合は、観察研究の限界を明示して結論を狭くします。
さらに詳しく:無作為抽出にも、目的に応じた設計がある
| 方法 | 選び方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 単純無作為抽出 | 母集団から等しい確率で選ぶ | 完全な名簿があり、母集団が比較的均質 |
| 系統抽出 | 無作為な開始点から一定間隔で選ぶ | 並んだ名簿から効率よく抽出 |
| 層化抽出 | 学年や地域などの層ごとに選ぶ | 重要な小集団を確実に含めたい |
| 集落抽出 | 学校や地区などの集団を選び、その中を調べる | 対象が広く分散し、移動費を抑えたい |
抽出方法に合わせた推定が必要です。集めやすい人へ声をかけただけの便宜抽出は、件数が多くても母集団を代表するとは限りません。
SPREADSHEET · CLEAN · VISUALIZE
参照方法と関数を使い、再計算できる表を作る
値を手作業で写さず、元データ・計算・グラフの関係が追える形にします。
表計算ソフトウェアでは、セルの値を直接書き換える代わりに数式で関係を表します。数式をコピーした時に参照先が移動する、行や列を固定する、一方だけを固定する複合参照を使い分けます。
| 目的 | 式の例 | 意味 |
|---|---|---|
| 合計 | =SUM(C2:C31) | C2からC31までを合計 |
| 平均 | =AVERAGE(C2:C31) | 空白を除いた平均 |
| 条件分岐 | =IF(C2>=60,"合格","要確認") | 条件で表示を変える |
| 条件付き個数 | =COUNTIF(B2:B100,"東京") | 条件に合うセルを数える |
| 比率 | =C2/$F$1 | 分母F1を固定してコピー |
並べ替えでは行全体を選び、フィルタでは非表示になった行が計算へ含まれるかを確認します。グラフは、カテゴリ比較なら棒、時間変化なら折れ線、分布ならヒストグラム、二変量なら散布図というように目的から選びます。
小数点以下を2桁表示しても、内部の値が丸められたとは限りません。表示形式、ROUND関数による丸め、文字列として保存された数値を区別します。
さらに詳しく:再現できる表の作り方
一枚の表へ元データ、途中計算、最終結果を混在させず、シートや領域を分けます。元データを変更せず、加工列へ式を置き、列名・単位・出典・取得日を記録します。
複雑な式は補助列へ分け、途中結果を確認します。コピーした式の参照範囲、欠測値、文字列の数字、フィルタ後の集計範囲を点検し、代表的な数行を手計算と照合します。
さらに詳しく:式の監査は、結果ではなく依存関係をたどる
数式をコピーした時の参照ずれ、範囲から外れた最終行、文字列として保存された数値、非表示行、手入力で上書きしたセルは、見た目だけでは気付きにくい誤りです。
入力セル・計算セル・出力セルを分け、式を表示して参照先を確認します。代表的な数行は手計算と照合し、合計値だけでなく件数、最小・最大、欠測数も確認します。定数を式の中へ何度も書かず、一か所の設定セルを参照すると変更を追跡しやすくなります。
CENTER · SPREAD
中心と散らばりを、組にして要約する
平均値だけでは、分布の形やばらつきは分かりません。

| 指標 | 定義・特徴 |
|---|---|
| 合計÷個数。すべての値を使うが外れ値の影響を受けやすい | |
| 小さい順の中央。外れ値の影響を受けにくい | |
| 最も多く現れる値・階級。名義尺度にも使える | |
| 最大値−最小値。両端だけで決まる | |
| Q₃−Q₁。中央50%の広がり | |
| 平均との差を二乗して平均し、平方根を取った散らばり |
分散は、各値と平均の差を二乗して平均した値で、標準偏差は分散の平方根です。図の箱ひげ図は、最小値10、Q₁=20、中央値30、Q₃=45、最大値60を同じ数直線上へ置いた五数要約です。箱はQ₁からQ₃までの中央50%を表し、箱の中の線が中央値、左右のひげが最小値・最大値までを表します。四分位範囲はQ₃−Q₁=25です。
統計ソフトでは、Q₁−1.5IQR未満またはQ₃+1.5IQR超を外れ値として点で描き、ひげをその範囲内の端の値までとすることがあります。図が「最小・最大までのひげ」か「1.5IQR方式」かを確認します。
標本から母集団の分散を推定するときは、分母をn−1とする不偏分散が使われます。データそのものの分散なのか、母分散を推定する分散なのかを確認します。
さらに詳しく:外れ値を自動的に削除しない
箱ひげ図では、Q1−1.5×IQR未満またはQ3+1.5×IQRより大きい値を外れ値候補として別記号で示す流儀があります。これは入力ミスと断定する基準ではありません。
測定ミスなら修正し、実際に起きた珍しい値なら残します。除外する場合は、結論を見てから都合よく決めず、基準と理由、除外前後の結果を示します。
HISTOGRAM · BOX PLOT
階級幅や軸を確認し、分布の形を読む
グラフは形を見せますが、作り方によって印象が変わります。
ヒストグラム
連続量を階級に分け、各階級の度数や相対度数を長方形で表します。階級幅を変えると山の数や形が変わるため、幅の根拠を示します。
箱ひげ図
最小値、Q₁、中央値、Q₃、最大値を使って分布を要約します。複数集団の中央値・散らばり・外れ値を同じ尺度で比較するのに向きます。
右に裾が長い分布
大きい側の少数値に平均が引かれ、平均値が中央値より大きくなりやすい。
外れ値
入力ミスとは限りません。原因を確認し、除外するなら基準と影響を説明します。
軸の開始位置、目盛間隔、単位、縦横比、母数、欠測値、階級幅。切断された縦軸は差を大きく見せることがあります。
棒グラフとヒストグラムは、横軸の意味が異なる
棒グラフはカテゴリごとの量を比較するため棒の間を空けます。ヒストグラムは連続する数値範囲を階級へ分けるため棒を接して描きます。階級幅を変えると山の数や見え方が変わるので、データ数と目的を踏まえて選びます。
さらに詳しく:グラフで誤解を生まない
縦軸を途中から始める、縦横比を極端に変える、面積や体積で値を表す、期間の一部だけを選ぶと、差が実際より大きくまたは小さく見えます。軸、単位、期間、出典、欠測、集計方法を明示します。
円グラフは全体に対する割合を一時点で示すのに向きますが、項目が多い比較や時系列には向きません。見た目ではなく、読み取りたい関係からグラフを選びます。
さらに詳しく:ヒストグラムは階級幅で見え方が変わる
階級幅を広くすると全体傾向は見やすくなりますが、複数の山や隙間が消えることがあります。狭すぎると偶然のばらつきが目立ちます。異なる階級幅を試し、同じデータから読み取れる特徴が安定しているか確かめます。
階級幅が一定でない場合、棒の高さではなく面積が度数に対応するようを使います。棒グラフはカテゴリを比較し、ヒストグラムは連続量の分布を隙間なく表すという違いも重要です。
SCATTER · CORRELATION
二つの量の関係を、向き・強さ・形で読む
相関係数は直線的な関係を要約し、因果関係を証明する値ではありません。

は一つの対象について二つの量をx座標・y座標で表します。右上がりなら正の相関、右下がりなら負の相関、方向が見えなければ相関が弱いと読みます。
は−1から1の範囲で、直線的な関係の向きと強さを表します。単位を変えても値は変わりませんが、外れ値の影響を強く受ける場合があります。
第三の変数が両方に影響している、偶然一致した、原因と結果の向きが逆である可能性があります。時系列・比較群・実験計画など追加の根拠が必要です。
さらに詳しく:相関関係から因果関係を断定できない三つの理由
- 交絡:第三の変数が両方を変化させる。
- 逆因果:AがBを変えるのではなくBがAを変えている。
- 偶然・選択:多数の組合せから都合のよい関係だけを見つける。
因果を主張するには、時間順序、仕組み、他の説明、実験や追加データを検討します。
さらに詳しく:全体の相関と、グループ内の相関が逆になることがある
複数の集団をまとめた時の傾向と、各集団の内部での傾向が反対になる現象をと呼びます。例えば学年ごとには学習時間が長いほど得点が高いのに、学年を混ぜると逆の相関に見える場合があります。
散布図を色や小図でグループ分けし、集団構成、割合、交絡変数を確認します。全体の相関係数一つだけでは、データの構造を見落とすことがあります。
REGRESSION · RESIDUAL
回帰直線で予測し、残差でモデルのずれを調べる
予測値だけでなく、どの程度外れたかと適用範囲を確認します。

説明変数xから目的変数yを予測する一次式を回帰直線 y=ax+b とします。最小二乗法では、各点の縦方向のずれの二乗和が最小になるa・bを求めます。残差は、実測値から予測値を引いた差です。
残差に曲線的な並び、扇形の広がり、時系列の連続性があれば、直線モデルや等分散・独立性の仮定が合っていない可能性があります。
観測したxの範囲外へ回帰式を延長した予測は、関係が同じまま続く保証がないため不確かです。
回帰式の係数を、変数の単位とともに読む
単回帰式ŷ=ax+bでは、傾きaはxが1単位増えた時に予測値が何単位変わるか、切片bはx=0の時の予測値です。x=0が観測範囲から遠い場合、切片へ実質的な意味を与えられないことがあります。
さらに詳しく:内挿と外挿、決定係数
観測したxの範囲内で予測するより、範囲外へ延長するは危険です。範囲外では関係が変わったり、物理的な上限・下限へ達したりします。
決定係数R²は、目的変数のばらつきのうちモデルで説明できた割合の一つの指標です。高いR²でも因果関係、予測の公平性、将来データでの性能は保証されません。残差の形と検証用データも確認します。
NORMAL DISTRIBUTION · Z-SCORE
平均から標準偏差何個分離れているかで位置を比べる
正規分布では、平均と標準偏差から一定範囲に入る割合を概算できます。

正規分布は平均を中心に左右対称の釣鐘形をした連続分布です。平均μ、標準偏差σのとき、内側から順にμ±1σへ約、μ±2σへ約、μ±3σへ約が含まれます。外側の範囲ほど内側の範囲を含むため、68.3%→95.4%→99.7%の順で範囲が広がります。
標準得点(z)は、値xから平均μを引き、その差を標準偏差σで割って求めます。z得点は、値xが平均から標準偏差何個分離れているかを表します。単位や尺度が異なる分布で相対的位置を比較できます。
人数の少ないデータ、強く歪んだデータ、上限・下限があるデータに68-95-99.7則を機械的に当てはめません。
正規分布の曲線は、高さそのものではなく、区間の下にあるが確率を表し、全体の面積は1です。
さらに詳しく:標本から母集団を推測する
標本平均は標本を取り直すたびに変わります。標本数が大きいほど標本平均のばらつきは一般に小さくなり、その不確かさを考慮した区間がです。95%信頼区間は「この一回の区間に母平均が95%の確率で入る」という意味ではなく、同じ手順を繰り返した時に作られる区間の約95%が真の値を含むという性質です。
では、差がないという帰無仮説の下で観測結果以上の極端さが出る確率をp値として計算します。p値が小さくても効果が大きいとは限らず、標本数、効果量、信頼区間、事前に決めた分析計画と合わせて判断します。
さらに詳しく:カイ二乗検定はカテゴリの度数を比べる
は、カテゴリ別の観測度数と、独立などの仮説から期待される度数のずれを調べる方法です。アンケートの選択肢と学年に関係があるか、といったクロス集計表で使います。
期待度数が小さすぎる場合や、同じ人を独立な複数回答として数えた場合には近似が適切でなくなります。有意差の有無だけでなく、どのセルがどの方向へずれたか、差の大きさ、標本設計も確認します。
さらに詳しく:二群の平均を比べるt検定は、対応の有無を先に決める
別々の人からなる二群を比べる場合は独立な二標本として扱い、同じ人の前後や対応づけた組を比べる場合は各組の差を分析します。後者をといい、個人差を差し引ける場合があります。
標本の独立性、外れ値、分布、分散の違いを確認し、条件に応じた方法を選びます。p値だけでなく、平均差、信頼区間、効果量、測定単位を示し、「統計的に有意」と「実際に重要」を分けて解釈します。
E-STAT · OPEN DATA · REPRODUCIBILITY
公的データは、検索・抽出・加工・解釈の道筋を残す
結果の数値だけでなく、どの表をどの条件で取得し、どう計算したかを再現できるようにします。
- 問いを決める対象・地域・時点・比較軸を明確にする
- 統計を探すe-Statで調査名や作成機関を確認する
- 表と条件を選ぶ項目・地域・年次・単位を絞る
- 定義を読む速報/確報、暦年/年度、注記を確認する
- 取得・整形する欠測、合計行、地域コード、型を整える
- 分析する比較可能な指標を計算し、可視化する
- 解釈を残す出典・抽出条件・加工式・限界を記録する
は政府統計を分野・組織・キーワードなどから探せる総合窓口です。最初に「何を、どの地域間で、いつの時点について比べるか」を問いとして定めます。次に調査名と統計表を選び、項目・地域・年次を絞ります。似た表題でも速報・確報、暦年・年度、現在人口・常住人口など定義が違うことがあるため、表の注記とメタデータを読みます。
例:人口10万人当たり図書館数を都道府県で比べる
- 社会教育調査などから都道府県別の図書館数を取得します。
- 同じ基準年に対応する都道府県別人口を取得します。図書館数が年度、人口が年次なら、どの時点を対応させるかを記録します。
- 都道府県名や地域コードで二つの表を結合します。合計行、全国行、欠測記号を通常の都道府県データへ混ぜないようにします。
- 各地域について次の式で指標を計算します。
人口10万人当たり図書館数は、図書館数を人口で割り、100,000を掛けて求めます。単純な図書館数では人口の多い地域が大きくなりやすいため、人口を分母にして比較可能な指標へ直します。ただし、面積、交通、開館時間、蔵書数、学校図書館の扱いなどは含まれません。「利用環境」を一つの指標だけで断定せず、指標の限界を結論へ添えます。
| 残す情報 | 記録例 |
|---|---|
| 出典 | 作成機関、調査名、統計表名・表番号、URL |
| 抽出条件 | 項目、地域、年次、単位、速報・確報 |
| 加工 | 除外した行、欠測の扱い、結合キー、計算式 |
| 時点 | データの対象時点とファイル取得日 |
| 解釈 | 結果が答える範囲、答えられない範囲、別の説明可能性 |
高齢化率なら「65歳以上人口÷総人口」、人口当たり施設数なら「施設数÷人口」です。分子と分母の地域・年次・定義が一致していなければ、計算できても意味のある比較になりません。
さらに詳しく:公的統計を再現可能な形で引用する
統計名だけでなく、表番号、系列名、地域、期間、単位、季節調整の有無、取得日、抽出条件、加工式を記録します。公表後に値が改訂される場合があるため、取得時点も重要です。
同じ名称でも定義変更や基準改定があるため、長期比較では注記と調査方法を確認します。グラフ画像だけを保存せず、元データと加工手順を一緒に残します。
公式・公的資料 政府統計の総合窓口 e-Stat 府省の統計表を、分野・地域・時系列などから検索して取得できます。 ↗ 公式・公的資料 総務省統計局 なるほど統計学園 データの探し方、グラフ、標本調査、分析の基礎を段階的に学べます。 ↗さらに詳しく:整然データと、縦持ち・横持ちの使い分け
では、一つの変数を一列、一つの観測を一行、一種類の観測単位を一つの表に置きます。年、地域、人口を列にした縦持ちは、年や地域を増やしても同じ構造で集計・作図しやすい形です。
年ごとに列を増やす横持ちは、人が一覧する帳票には便利ですが、列名に値が入り、処理のたびに形を変える必要が生じます。元データの意味を保った整然な表を保存し、発表用のクロス表は必要な時に作ります。
TIME SERIES · MOVING AVERAGE · SEASONAL ADJUSTMENT
時間変化を成分に分け、季節調整済み系列まで作る
原系列の上下をそのまま比較せず、毎年繰り返す季節性と長期的な動きを分けます。
は、同じ対象を時間の順に観測したデータです。日ごとの気温、月ごとの売上、四半期ごとのGDPなどが該当します。時間順序を無視して通常の散布図だけで扱うと、長期変化や周期性を見落とすため、横軸を時間として連続した変化を読みます。

| 成分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 長期的に増加・減少する動き | 人口減少、長期的な価格上昇 | |
| 1年・1週・1日など暦に沿って繰り返す動き | 夏の電力需要、週末の来客数 | |
| 季節より長い波で、周期が一定とは限らない動き | 景気循環 | |
| 事故・災害・一時的イベントなど予測しにくい動き | 台風による交通量減少 |
変動幅が水準によらずほぼ一定ならY=T+S+C+Iの、売上が大きい時期ほど季節変動幅も大きくなるような場合はY=T×S×C×Iので考えます。
移動平均から季節調整済み系列へ

- 原系列を描く:欠測、外れ値、周期、長期傾向を確認します。
- 移動平均を求める:月次データなら12か月移動平均で季節変動をならし、傾向×循環を近似します。12のような偶数期間では平均の位置が月と月の間になるため、隣り合う移動平均をさらに平均するを使います。
- 季節比率を求める:乗法モデルでは原系列÷中心化移動平均により、おおよそ季節×不規則を取り出します。
- 季節指数を作る:1月どうし、2月どうしのように同じ月の季節比率を平均し、12か月の平均が1になるよう調整します。
- 季節調整する:原系列を対応する月の季節指数で割ります。
季節調整済み系列は、原系列を対応する季節指数で割って求めます。季節要因を除いて前月との変化や基調を読みやすくした系列です。ただし不規則変動は残り、季節指数は新しいデータや手法によって改訂されることがあります。元の実数値を示す原系列と、変化を読む季節調整済み系列を目的に応じて使い分けます。
さらに詳しく:実データで季節調整:家計の月別消費支出
総務省統計局「家計調査」の二人以上の世帯について、1世帯当たり1か月の消費支出を使います。原系列には、12月に高く2月に低いという毎年の動きがあり、隣り合う月の比較だけでは一時的な変化を読み取りにくくなります。
- 季節指数を作る:2017〜2019年について、1月どうし、2月どうしの平均を求めます。各月平均を12か月全体の平均で割り、平均が1になる季節指数にします。
- 原系列を指数で割る:例えば12月の指数は約1.126なので、12月の金額を1.126で割り、年末に高くなる傾向をならします。
- 調整後の動きを読む:同じ方法で2019〜2021年を計算し、原系列と季節調整済み系列を重ねます。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 季節指数 | 1.002 | 0.923 | 1.052 | 1.032 | 1.002 | 0.942 | 0.985 | 1.006 | 0.973 | 0.988 | 0.969 | 1.126 |

2020年5月の季節調整済み値は約25万1,568円で、2019年5月の約30万365円より約16.2%低い値です。新型コロナウイルス感染症の拡大と行動制限が重なった時期に大きな落ち込みが見られる、という仮説を立てられます。ただし、この系列だけで低下のすべてが感染症によるものだと因果関係を断定はできません。品目別支出、所得、物価、政策、調査方法の変更も追加確認します。
公的統計の公式な季節調整では、より長い系列を使い、曜日・祝日・うるう年、外れ値、傾向の変化などを統計モデルで扱います。新しいデータが増えると過去の調整値も改訂されます。分析では、使用した手法と取得時点を必ず記録します。
さらに詳しく:移動平均の端と改訂
中心化移動平均は窓の中央へ値を置くため、系列の最初と最後では計算できない期間が生じます。窓を長くすると細かな変化はならされますが、転換点の把握が遅れます。
季節調整値は、新しいデータが加わると季節指数や傾向の推定が変わり、過去値も改訂されることがあります。速報値と確報値、原系列と季節調整系列を区別します。
さらに詳しく:指数で時系列を比べる時は、基準年と重みを見る
ある時点を100として他の時点を相対値で表したものがです。基準年の値が50、比較年が60なら指数は120です。単位や規模の違う系列でも変化率を比較しやすくなります。
物価指数のように複数品目をまとめる場合は、どの品目をどの比率で重みづけするかが結果へ影響します。基準年が変わると品目構成や重みも見直されるため、指数の接続方法、改定、原数値か季節調整値かを確認します。
MODEL · SIMULATION
現実の重要な関係を残し、条件を変えて結果を試す
モデルは現実そのものではありません。目的に必要な要素を選び、仮定と限界を明示します。
は、現実の対象から目的に関係する要素と関係を取り出し、図、表、数式、プログラムなどで表すことです。モデルを使って時間変化や多数回の試行を再現し、結果を調べることをといいます。
| 分類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 静的/動的 | 時間変化を扱わない/扱う | 組織図/人口変化 |
| 確定的/確率的 | 同じ入力なら同じ結果/乱数などで結果が変わる | 複利計算/待ち行列 |
| 連続/離散 | 状態が連続的/決まった時点・個数で変化 | 物体運動/レジ待ち人数 |
| 数理/図的 | 式で関係を表す/構造や流れを図で表す | 回帰式/状態遷移図 |
- 目的と評価指標を決めます。
- 変数、初期値、変化の規則、仮定を定めます。
- 実データや既知の条件でモデルが妥当か確かめます。
- 一つずつ条件を変え、結果の感度やばらつきを調べます。
- 現実へ戻して解釈し、モデルに含めなかった要因を示します。
到着間隔と処理時間を乱数で変え、窓口数ごとの平均待ち時間を比べます。窓口を増やす費用とのトレードオフまで含めて判断します。
さらに詳しく:モンテカルロ法と乱数
は、確率に従う試行を多数回繰り返して、面積、確率、期待値などを近似する方法です。乱数で正方形内へ点を打ち、円内に入った割合から円周率を近似する例があります。
コンピュータの疑似乱数は決定的な計算で作られます。同じシードなら同じ列を再現でき、検証に便利です。試行回数を増やすと偶然のばらつきは小さくなりますが、モデルの仮定が誤っていれば正しい現実予測にはなりません。
さらに詳しく:モデルの妥当性を、別のデータと感度分析で確かめる
モデルを作ったデータへよく合うだけでは、未知の状況を説明できるとは限りません。一部のデータを検証用として残し、予測と実測のずれを比べます。
初期値や係数を少し変えて結果がどの程度変わるか調べるも重要です。小さな変更で結論が大きく変わるなら、その仮定を正確に決める必要があります。モデルが合わない時は、係数だけでなく、含めなかった要因や関係の形を見直します。
さらに詳しく:待ち行列では平均だけでなく、混雑の偏りを見る
到着間隔と処理時間が同じ平均でも、ばらつきが大きいと長い待ち時間が発生しやすくなります。平均待ち時間だけでなく、最大値、一定時間以上待つ割合、窓口の稼働率も記録します。
窓口を増やせば待ち時間は減りますが、費用や人員が増えます。複数条件を同じ乱数系列で比較し、偶然の差を抑えながらトレードオフを調べます。