DATA · INFORMATION · KNOWLEDGE
データは、目的を与えると情報になる
同じ数値でも、並べ方・比較対象・目的によって意味は変わります。
は、事実や事柄を数値・文字・記号などで表現したものです。データを目的に沿って整理・解釈するとになり、情報を分析して問題解決に使える形にするとになります。さらに、知識を深く洞察し長期的な判断へ結びつけたものがです。
目的に合う情報を探す。
発信者・時点・根拠を確かめる。
比較し、関係を読み取る。
判断や問題解決へつなげる。
例:気温
「28.4」という測定値だけならデータです。日時・場所・過去平均との差を添えると、暑さを判断できる情報になります。
例:降水量
過去の推移、作物の状態、今後の予報を関連づけると、農作業の判断に使える知識になります。
だれが発信したか/いつ更新されたか/根拠は何か/事実と意見が分かれているか/別の資料でも確かめられるか。
情報を、意味が生まれる範囲で分類する
情報は、単なる記号だけを指すとは限りません。生物にとって意味をもつ最も広い情報を、人どうしが共通の規則や文脈を使って意味を伝える情報を、意味から切り離して記号列として扱える情報をと整理できます。
| 分類 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 生命情報 | 生物の内部に変化を起こし、その生物にとって意味をもつ | 空腹感、危険を感じたときの反応、遺伝情報 |
| 社会情報 | 言葉・表情・図などを、共有された文脈で解釈する | 会話、道路標識、授業の説明 |
| 機械情報 | 意味内容をいったん離れ、文字コードやビット列として処理する | 保存された文章、画像ファイル、通信パケット |
同じ「ありがとう」という文字列でも、日本語を理解する人には社会情報として意味が伝わります。コンピュータにとっては文字コードの並びであり、処理の段階では機械情報です。分類は物そのものに固定されるのではなく、によって変わります。
さらに詳しく:情報はいつ『価値』をもつのか
データを集めただけでは、判断に使えるとは限りません。目的、比較対象、取得時点、単位、信頼性を与えると情報になり、別の情報と関連づけて再利用できる状態になると知識になります。情報の価値は、正確さだけでなく、必要な時に得られるか、受け手が理解できるか、意思決定に役立つかでも変わります。
「降水量30 mm」はデータです。平年値、観測場所、時間範囲を添えると大雨かどうかを判断する情報になり、過去の被害や地形と関連づけると避難判断に使える知識になります。
さらに詳しく:ビッグデータの3Vと、量だけでは決まらない価値
ビッグデータは、量の大きさを表す、形式の多様さを表す、発生・更新の速さを表すという三つのVで整理されます。購買記録、位置情報、画像、センサ値のように性質の異なるデータを、短い時間で扱う必要がある点が特徴です。
ただし、件数が多ければ正しいとは限りません。対象の偏り、測定条件、欠測、重複、古さを確認し、利用目的に必要な精度と代表性を満たすかを評価します。価値はデータの量ではなく、適切な問いと検証可能な使い方から生まれます。
PROPERTIES · MEDIA
情報の性質に合わせて、伝える手段を選ぶ
情報は物とは異なり、残り、複製され、瞬時に広がります。
情報には、手元に残る、同じ内容を容易にコピーできる、遠くへすばやく運べるがあります。便利さの源である一方、誤情報・個人情報・著作物も同じ性質で広がる点に注意が必要です。
表現
文字、画像、音声、動画。正確さ、分かりやすさ、臨場感を考えて選びます。
伝達
新聞、テレビ、電話、手紙、SNS。範囲、速さ、双方向性が異なります。
記録
紙、手帳、USBメモリ、クラウド。保存期間、容量、検索性、耐久性が異なります。
空気・光・電波など、情報を物理的に運ぶものもです。目的と受け手を先に決め、その条件に合う表現・伝達・記録の方法を選びます。
メディアは、情報を表し、運び、残すための仲立ち
は情報を人や機械の間で媒介するものです。文字・音声・画像・動画などの、新聞・電話・放送・Web・SNSなどの、紙・磁気ディスク・半導体メモリ・クラウドなどのという観点で整理できます。一つのメディアが複数の役割を担う場合もあります。
目的と受け手を定める → 必要な正確さ・速さ・保存期間・双方向性を考える → 文字、図、音声、動画などを組み合わせる → 誤解や利用しにくさがないか確認する。
さらに詳しく:メディアの変化とメディアリテラシー
マスメディアは少数の発信者から多数の受け手へ同じ情報を届けるのが得意です。SNSなどのソーシャルメディアでは受け手も発信者になり、情報が速く広がる一方、似た意見だけが集まるフィルターバブルや、注目を集める内容が優先される問題も起こります。
には、機器を操作する力だけでなく、発信者、目的、編集方法、広告との関係、示されていない情報を読み取り、自分の発信が他者へ及ぼす影響を考える力まで含まれます。
PROBLEM FINDING · SOLVING
現状と目標の差を捉え、検証できる手順へ変える
思いついた解決策から始めず、問題の把握、実行、評価、共有を一続きにします。
は、現在の状態と望ましい状態の間にある差です。最初に「だれにとって、何が、どの程度困っているのか」を明らかにし、観察やデータで確かめられるへ言い換えます。原因と結果を混同せず、制約条件や優先順位も確認します。
現状・目標・関係者を整理し、検証できる問いを立てる。
必要なデータを決め、観察・調査・実験・既存資料から集める。
複数案を出し、効果・費用・時間・安全性を比較する。
手順と役割を決め、小さく試して記録する。
目標に照らして評価し、根拠と限界を他者へ伝える。
一方を改善すると別の条件が悪化する関係をといいます。例えば、画質を高くするとデータ量が増えます。「どちらが正しいか」ではなく、目的に応じて重み付けして選びます。
都合のよいデータだけを選ぶ、結果を書き換える、出典を示さず他人の成果を使う行為は、結論だけでなく調査全体への信頼を損ないます。人を対象にする場合は、目的の説明、同意、個人情報の保護、不利益を与えない配慮が必要です。
さらに詳しく:コンピュテーショナルシンキング
複雑な問題を小さく分ける、重要な特徴を残して不要な細部を省く、同じ形を見つけるパターン認識、手順を明確にするアルゴリズム化を組み合わせる考え方です。プログラムを書く時だけでなく、調理、避難計画、実験、学習計画などにも使えます。
良い手順は、実行できるだけでなく、入力が変わっても使えるか、必要な時間や資源が現実的か、途中で誤りを発見できるかまで評価します。
さらに詳しく:発散と収束を分けて、解決案を育てる
案を出す段階では、すぐに評価せず量と多様性を増やすを行います。ブレーンストーミングでは批判を後回しにし、他者の案を組み合わせます。次に、似た案をまとめる、因果関係を並べる、評価基準で比較するなどのを行います。
KJ法は断片的な情報をカードへ書き、意味の近いものをグループ化して関係を見つける方法です。ロジックツリーは問題を「なぜ起きるか」「何をすべきか」へ分解します。どの技法も、きれいな図を作ることではなく、見落としていた関係や代替案を発見するために使います。
さらに詳しく:演繹・帰納・仮説推論を使い分ける
| 考え方 | 進み方 | 注意 |
|---|---|---|
| 演繹 | 一般的な規則と条件から、個別の結論を導く | 前提が誤っていれば結論も信頼できない |
| 帰納 | 複数の観察例から、共通する傾向を推測する | 反例や偏った標本を確認する |
| 仮説推論 | 観察結果を最もよく説明する仮説を考える | 別の説明も残し、追加データで比べる |
問題解決では、仮説を立て、そこから予測を演繹し、観察や実験の結果を集めて仮説を見直す、という往復が重要です。
LAW · ETHICS · HUMAN ERROR
法・技術・運用を組み合わせ、情報漏えいを防ぐ
法律で禁止される行為だけでなく、設定ミスや紛失などの日常的な原因まで考えます。
は、本来は組織や本人の管理下に置くべき情報が外部へ出ることです。原因には不正アクセスやマルウェアだけでなく、宛先間違い、公開範囲の設定ミス、端末やUSBメモリの紛失、書類の置き忘れなどのがあります。
| 行為・原因 | 何が起こるか | 主な対策 |
|---|---|---|
| 不正アクセス | 権限のない人が他人のID・パスワードなどを使って侵入する | 多要素認証、アクセス制御、ログ監視、更新 |
| フィッシング | 偽のメールやサイトで認証情報を入力させる | 送信元とURLの確認、ブックマークからアクセス、報告 |
| スパイウェア | 入力内容や行動を密かに収集する | 正規の入手先、更新、権限確認、対策ソフト |
| 誤操作・紛失 | 共有範囲や送信先を誤る、媒体を失う | 確認手順、最小権限、暗号化、持出し制限 |
は、不正アクセス行為や、それを助長する識別符号の不正な提供などを規制します。個人情報の取得・利用・提供にはが関係します。ただし、合法であっても相手を欺く、過度に監視する、目的外に利用する行為が妥当とは限りません。法と情報モラルの両方から判断します。
さらに詳しく:ヒューマンエラーを個人の注意だけにしない
「気を付ける」だけでは、忙しさ、思い込み、見分けにくい画面など同じ条件で再発します。重要操作の確認画面、送信保留、権限の初期値を非公開にする、二人で確認する、端末を自動ロックするなど、間違えても被害へ直結しにくい仕組みを設計します。
事故が起きた時は、隠さず早く報告し、影響範囲を特定して遮断・連絡・復旧を行い、個人を責めるだけでなく手順や画面設計を見直します。
さらに詳しく:多層防御とバックアップ
一つの対策だけに頼らず、端末の更新、認証、権限管理、通信の保護、監視、利用者教育、バックアップを重ねる考え方をといいます。どこか一層を突破されても、次の層で発見・停止できるようにします。
バックアップは元データと同じ端末だけに置かず、世代を分け、必要に応じてネットワークから切り離します。保存できていることと復元できることは別なので、復元手順と所要時間も試します。
公式・公的資料 IPA 情報セキュリティ10大脅威 実際の被害事例と、個人・組織が優先すべき対策を確認できます。 ↗PERSONAL DATA
個人情報は、識別できるかどうかで見分ける
氏名だけでなく、組み合わせによって個人を識別できる情報も対象です。
は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する法律です。生存する個人に関する情報で、その情報だけで特定の個人を識別できるもの、ほかの情報と容易に照合すると特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号を含むものを個人情報といいます。
| 区分 | 意味 | 例・注意 |
|---|---|---|
| 差別や偏見などの不利益につながり得る、特に慎重な取扱いが必要な情報 | 人種、信条、病歴、犯罪歴、犯罪被害の事実など | |
| 特定の個人を識別できず、元の個人情報へ復元できないよう加工した情報 | 一定の要件の下で第三者提供が可能 | |
| 他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別できないよう加工した情報 | 利用範囲と第三者提供に制限がある |
顔写真、声、行動履歴、位置情報、所属や活動の記録も、本人を識別できれば個人情報です。
サービスや広告配信などの同意設計で、事前に本人の同意を得てから利用を始める方式を一般に、本人が拒否の意思を示すことで利用を止められる方式を一般にといいます。個人データの第三者提供に関する法的な「オプトアウト」は、届出・公表など別途の要件を伴うため、単に拒否ボタンがあればよいわけではありません。
個人情報は、利用目的と管理の一連の流れで守る
事業者は、利用目的をできる限り具体的に示し、必要な範囲で適正に取得し、正確性の確保、安全管理、第三者提供の管理、開示・訂正・利用停止への対応まで考えます。個人情報に含まれる顔特徴、指紋、旅券番号、免許証番号など、本人を一意に識別できる符号をといいます。
さらに詳しく:行動履歴を活用するときの利点と危険
検索履歴、購買履歴、位置履歴、アクセスログを分析すると、混雑予測や商品推薦、災害時の支援に役立ちます。一方、別々のデータを結合すると本人や生活パターンを推測できる場合があります。
氏名を削除しただけでは再識別を防げません。利用目的、保存期間、アクセスできる人、外部提供の有無を明確にし、集計や匿名化・仮名化など目的に必要な粒度へ下げます。
さらに詳しく:個人情報・個人データ・保有個人データの関係
は、生存する個人に関する情報で、氏名などによって本人を識別できるものや個人識別符号を含むものです。これを検索できるよう体系的に構成した個人情報データベース等の中の情報をと呼びます。
事業者が開示・訂正・利用停止などへ対応する権限をもつ個人データは、一定の例外を除きに当たります。言葉が似ていますが、該当する段階によって安全管理や第三者提供などの義務が変わります。
公式・公的資料 個人情報保護委員会『学ぼう個人情報』 高校生向けの具体例で、個人情報と安全な取扱いを確認できます。 ↗さらに詳しく:同意があれば何をしてもよいわけではない
個人データの第三者提供は本人の同意が基本ですが、法令に基づく場合などの例外もあります。反対に、画面上で同意を得たように見えても、目的が分かりにくい、必要以上の情報を求める、拒否すると利用できないなど、選択が実質的でない場合があります。
利用者は、だれが、何の目的で、どの情報を、いつまで使い、だれへ渡すのかを確認します。提供者は目的を具体的に示し、必要最小限の収集、保存期間、削除方法、問い合わせ先を設計します。
PRIVACY · DISCLOSURE
公開する権利と、公開しない情報を区別する
情報の公開は透明性を高めますが、保護すべき情報まで公開してよいわけではありません。
伝統的なプライバシーは「ひとりにしておいてもらう権利」と表現されました。情報社会では、自己に関する情報がだれに、何の目的で、どのように利用されるかをとして捉える考え方が有力です。ただし、プライバシー権や自己情報コントロール権を一括して定めた単独の法律があるわけではなく、憲法13条を基礎とする判例・学説や個別法によって保護されています。ネット上の情報についてはも議論されています。
撮影、公開、利用、削除の希望を考える。
開示の必要性と、不開示情報の範囲を考える。
パブリシティ権
著名人などの氏名や肖像がもつ顧客吸引力を、排他的に利用できる権利として判例上認められています。
肖像権
承諾なくみだりに容貌などを撮影・公表されない人格的利益として、判例上保護されています。商業的な顧客吸引力の保護はパブリシティ権と区別します。
は、国の行政機関が保有する行政文書の開示を請求できる仕組みです。独立行政法人等には別の情報公開法があり、地方公共団体にも条例などに基づく制度があります。ただし、個人情報、法人情報、国家安全、公共の安全などは不開示となる場合があります。
収集制限、データ内容、目的明確化、利用制限、安全保護、公開、個人参加、責任。個人情報を扱う一連の流れを、収集から説明責任まで通して管理します。
マイナンバーは個人に割り当てられるの番号です。税・社会保障・災害対策など、法律で定められた範囲で利用されます。
INDUSTRIAL PROPERTY
技術・形・デザイン・ブランドを、登録によって守る
産業財産権は特許庁への出願と登録によって権利が発生します。
産業財産権
特許権・実用新案権・意匠権・商標権
出願・登録によって発生著作権
著作者の権利・著作隣接権
著作者の権利は創作時に発生その他の知的財産
回路配置利用権・育成者権・営業秘密など
根拠法と保護方法はそれぞれ異なる| 権利 | 守るもの | 主な条件 | 存続期間 |
|---|---|---|---|
| 高度な技術的思想である発明 | 新規性・進歩性・産業上の利用可能性 | 出願日から原則20年 | |
| 物品の形状・構造・組合せに関する考案 | 物品に関する技術的工夫 | 出願日から10年 | |
| 物品・建築物・画像などのデザイン | 新規性・創作非容易性など | 出願日から25年 | |
| 商品・サービスを区別する標識 | 文字、図形、記号、立体、音、色彩など | 設定登録から10年、更新可能 |
この4つをまとめてといいます。回路配置利用権、育成者権、営業秘密なども知的財産に関係しますが、根拠となる法律や保護方法は異なります。
さらに詳しく:出願前に公開すると権利化できない場合がある
産業財産権は、考えた瞬間に自動で独占権が生じる著作権とは異なり、原則として出願と審査・登録の手続きが必要です。特許や意匠では新しさが重要なので、発表会やSNSで先に公開すると、自分の公開であっても権利化へ影響する場合があります。
公開前に既存の技術・意匠・商標を検索し、発明者や創作者、出願人、公開時期を整理します。権利の種類ごとに保護対象、手続き、存続期間、更新の可否が異なります。
公式・公的資料 特許情報プラットフォーム J-PlatPat 特許・実用新案・意匠・商標の公開情報を検索できます。 ↗COPYRIGHT
著作権は、表現された創作物と創作者を守る
アイデアそのものではなく、創作的に表現された著作物が保護されます。
著作物とは、思想または感情をしたもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものです。保護されるのは表現であり、単なるアイデア、事実、ありふれた題名、短すぎて創作性を認めにくい表現などは、原則としてそれだけでは著作物になりません。小説・楽曲・絵画だけでなく、写真、映画、地図、設計図、プログラムも著作物になり得ます。
産業財産権
特許権・実用新案権・意匠権・商標権
出願・登録によって発生著作権
著作者の権利・著作隣接権
著作者の権利は創作時に発生その他の知的財産
回路配置利用権・育成者権・営業秘密など
根拠法と保護方法はそれぞれ異なる著作者の権利
伝達者の権利
著作権(財産権)=狭い意味での著作権は、利用方法ごとに分かれる
| 権利 | 対象となる利用 | 高校生活での例 |
|---|---|---|
| 印刷、録音、録画、ダウンロード、サーバへの保存など、著作物を再製する | 市販問題集をクラス全員分コピーする | |
| 脚本を上演する、楽曲を演奏する | 文化祭で演劇や楽曲を公衆に披露する | |
| 映画・写真・資料などをスクリーンに映す | 購入した映画を不特定多数へ上映する | |
| Web掲載、動画配信、放送などで公衆へ送信し、受信装置で公に伝達する | 他人のイラストを学校サイトへ掲載する | |
| 言語の著作物を読み上げる、美術・未発行写真を原作品で展示する | 朗読会や校内展示で利用する | |
| 映画の著作物の複製物を譲渡・貸与する | 映画データを収録した媒体を配る | |
| 著作物の複製物を公衆へ譲渡・貸与する | 複製した教材を多数へ配る・貸す | |
| 翻訳、編曲、変形、脚色、映画化など二次的著作物を創作する | 小説を台本化する、楽曲を編曲する | |
| 翻訳・編曲などで作られた二次的著作物の利用に、原著作者も関与する | 翻案した台本を上演・配信する |
著作者人格権は、著作者その人を守る
未公表の著作物を公表するか、いつ・どのような方法で公表するかを決めます。
実名・変名を表示するか、氏名を表示しないかを決めます。
著作者の意に反して内容や題号を変更・切除されない利益を守ります。
権利の存続期間と、譲渡・相続の違い
日本では、著作者の権利は著作物を創作した時点で自動的に発生するです。登録しなければ権利が発生しない産業財産権とは異なります。ただし、著作権(財産権)と著作者人格権では、譲渡・相続や存続期間の扱いが異なります。
著作権(財産権)
譲渡・相続ができます。保護期間には著作物の種類などによる例外がありますが、自然人が著作者である著作物では、原則として創作時から著作者の生存中とです。
著作者人格権
著作者だけに属するの権利で、譲渡も相続もできず、著作者の死亡によって権利そのものは消滅します。ただし死後も、著作物を公衆へ提供・提示するときに、存命なら著作者人格権の侵害となる行為は、著作権法60条によって原則として禁止されます。行為の性質・程度や社会的事情の変動などにより、著作者の意を害しないと認められる場合は例外です。
素材の選択・配列、または情報の選択・体系的構成に創作性がある場合、その構成自体が保護されます。個々の事実や数値そのものに著作権が発生するわけではありません。
私的使用、引用、授業の過程で必要な利用など、許諾なしで利用できる規定をといいます。ただし「学校だから自由」「出所を書けば引用」という意味ではありません。目的・方法・必要な範囲など、規定ごとの条件を「著作権の制限」の節で確かめます。
さらに詳しく:著作物を共有しやすくするライセンス
著作権者は、すべての利用を個別に許可する代わりに、条件をあらかじめ示すことができます。では、氏名表示を基本に、改変禁止、非営利、同一条件での共有などを組み合わせます。
ライセンス表示があっても、著作者名、対象作品、許された利用、改変の可否を確認します。素材サイトの独自規約とCCライセンスを混同せず、利用時点の表示を記録します。
さらに詳しく:作品を買うことと、著作権を得ることは別
本、写真、音源、イラスト素材を購入しても、通常はその複製物や利用許諾を得るのであり、著作権そのものが移転するわけではありません。紙の本を所有していても、全ページをスキャンして公開できるとは限りません。
依頼して作ってもらった作品でも、契約で定めなければ著作者に権利が残る場合があります。利用媒体、期間、地域、改変、再許諾、氏名表示、二次利用を契約やライセンスで確認します。
NEIGHBOURING RIGHTS
実演・録音・放送を担う人にも、伝達者としての権利がある
作品を創作した人の権利とは別に、作品や実演を公衆へ伝える人の活動も保護されます。
著作者が作品を創作するのに対し、実演家は歌唱・演奏・演技によって作品を表現し、レコード製作者は音を最初に録音し、放送事業者・有線放送事業者は番組を公衆へ伝えます。こうした伝達に重要な役割を果たす人へ与えられる権利がです。
著作隣接権は、実演、音の最初の固定、放送・有線放送を行った時点で自動的に発生します。実演は実演を行った年の翌年から原則70年、レコードは発行した年の翌年から原則70年保護されます。固定後70年以内に発行されなかったレコードは、固定した年の翌年から70年です。放送・有線放送は、行った年の翌年から原則50年です。著作者の権利とは、権利者・守る対象・権利の内容が異なります。
| 主体 | 守る対象 | 主な権利の内容 | 人格的な権利 |
|---|---|---|---|
| 歌唱、演奏、演技などの実演 | 録音・録画、放送・有線放送、送信可能化、録音物・録画物の譲渡・貸与などを管理し、一定の場合に二次使用料・報酬を受ける | 氏名表示・同一性保持に関するがある | |
| 音を最初に固定して作ったレコード | 複製、送信可能化、複製物の譲渡・貸与などを管理し、一定の場合に二次使用料・報酬を受ける | 人格権はなく、財産的な権利をもつ | |
| 自ら行った放送 | 放送の複製、再放送・有線放送、一定の装置によるテレビ放送の公の伝達などを管理する | 人格権はなく、財産的な権利をもつ | |
| 自ら行った有線放送 | 有線放送の複製、放送・再有線放送、一定の装置による有線テレビ放送の公の伝達などを管理する | 人格権はなく、財産的な権利をもつ |
市販の音源を動画へ入れて公開する場合、歌詞・楽曲の著作権だけでなく、歌手・演奏者の実演家の権利や、音源を制作したレコード製作者の権利も関係します。「曲の作者から許可を得たから、CD音源も自由に使える」とは限りません。
商業用レコードが放送などで利用された場合の二次使用料や、貸レコードについての報酬など、利用そのものを禁止する権利とは別に、法律で定められた報酬を受ける権利もあります。
COPYRIGHT LIMITATIONS
許諾なしで使えるのは、法律上の条件を満たす範囲だけ
私的使用・引用・授業などの代表例を取り上げます。ほかにも多くの権利制限規定があります。
著作権の制限――次は代表的な例の一部
著作権法は、著作者の利益と社会における公正な利用のバランスを取るため、一定の条件で著作権(財産権)を制限しています。以下の四項目は全体の一部です。「学校だから」「非営利だから」自動的に自由になるわけではなく、利用する規定ごとに目的・方法・対象・必要な範囲などを確認します。
私的使用のための複製
個人的・家庭内など限られた範囲で、使用する本人が行う複製です。違法にアップロードされた著作物と知りながら行うダウンロードなどは、一定の要件の下で私的使用でも違法となります。
公表済み、必然性、主従関係、明瞭な区別、出所明示などの条件を満たして利用します。
教育機関での複製等
授業の過程で必要な範囲に限られ、著作権者の利益を不当に害してはいけません。
試験問題・時事報道
目的に必要な範囲で認められる規定があります。利用条件は規定ごとに異なります。
著作権法30条から47条の7には、図書館等での複製、障害のある人が情報を利用するための複製・公衆送信、写真などへの軽微な写り込み、情報解析のための利用など、多数の規定があります。許諾なしで使えるかは、実際の利用がどの条文の条件を満たすかで判断します。
自分の説明が主で引用部分が従になっているか、引用する必然性があるか、引用箇所を明確に区別しているか、必要な範囲に収まっているか、公正な慣行に合うかを確認します。出所明示は重要な条件の一つですが、それだけで引用になるわけではありません。
ライセンスによる利用許諾は、著作権の制限とは別
は、著作者が「表示」「非営利」「改変禁止」「継承」などの条件を組み合わせて利用許諾を示す仕組みです。法律が例外として許す「著作権の制限」ではなく、権利者が条件付きであらかじめ許諾する仕組みであり、権利を放棄する表示でもありません。
さらに詳しく:学校の授業なら常に自由に複製できる、ではない
学校その他の教育機関では、授業を担当する教員や授業を受ける学習者が、授業に必要な範囲で著作物を複製できる場合があります。しかし、一般販売されている問題集を全員分コピーするなど、著作権者の利益を不当に害する利用は認められません。
対面授業の複製、オンラインでの公衆送信、学校行事、部活動、Web公開は条件が同じではありません。引用を使う場合も、必然性、主従関係、区別、出典表示などを確認します。
公式・公的資料 文化庁 著作権施策の総合案内 著作物を利用するときの考え方、制度、相談先を確認できます。 ↗DECISION MAKING
合法かだけでなく、相手と社会への影響まで考える
情報社会の問題は、技術・法律・倫理・安全を重ねて判断します。
出典、日時、当事者、利用条件を確認する。
個人情報、プライバシー、著作権を確認する。
公開範囲、残存性、複製性、伝播性を考える。
必要なら同意・許諾を得て、範囲を最小化する。
文化祭で撮影した動画を学校公式SNSへ掲載したい。被写体の同意、背景に映った個人情報、使用した音楽の権利、公開範囲と削除方法を確認してから公開します。
情報モラルは、単に禁止事項を覚えることではありません。情報技術の特徴を理解し、他者のと自分のを踏まえて、よりよい行動を選ぶ力です。
超スマート社会では、便利さの配分まで考える
実空間のセンサから集めたデータをサイバー空間で分析し、その結果を交通、医療、防災、農業などへ戻す社会像をといいます。必要な支援を個別に届けられる一方、データの偏り、監視、サイバー攻撃、機器を使えない人が取り残されるにも注意が必要です。
さらに詳しく:自動化された判断を点検する
AIや推薦システムの出力は、学習データ、目的関数、しきい値によって変わります。正解のように見える数値でも、だれのデータが少ないか、誤判定の不利益をだれが受けるか、異議申立てや人による確認が可能かを点検します。
目的は正当か/必要以上のデータを集めていないか/説明できるか/人が修正できるか/利益と危険が特定の集団へ偏っていないか。